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思ったことを。

昨日の比較文学の授業では音について考えた。
谷崎潤一郎『痴人の愛』で、薄い壁を通して音が聞こえることが、直接に聞こえるのとは違う効果をもたらしているというようなことを聞いた。
西洋から見れば、日本には、垣根とかすだれとか、直接にでなく音が聞こえる空間がいろいろとあるらしい。
そう考えたとき、平安時代の貴族は、結婚するまで相手の顔を見なかったということを思い出す。ずっと、御簾越しに話していたと。
それって、姿をしのぶようでいて、実は逆に誘惑させるものだったのではないだろうか。
なるほど・・・。
平安の女性たちはそうやって男を落としていたのかもしれない。
現代ならどうだろう。電話はちょっと隔てられすぎている気もするなあ。あまりそういう状況はないかもしれないけれど、薄い壁越しというのは、やはり誘惑的かもしれない。
試す価値はあるかも、と思ってしまった。

もう一つ、前々回の「義経」で、天皇が御簾越しに、しかも間に人を入れて話しているのを見た。
ここでは、天皇の言葉を重々しく、高貴なものに聞こえさせていると思う。
あれは、天皇は高貴だからそうする、というのもあるかもしれないけれど、
逆に、そうすることで、言葉を重々しくし、命令を聞いてもらいやすくする、という効果も、あったのかもしれない。
by hyuri07 | 2005-06-26 01:10 | 文学


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