「好きなサックスプレーヤーは?」と聞かれても心から答えることができなかった。他の人よりは好きかなあと思ったプレイヤーを好きだということにして、人の話についていこうとしていた。
ネットでこの人のプレイを聞いたとき、あ、やっと見つかった、と思った。
ジャズサークルでサックスを始めてから四年近く、
ジャズのバンドをやらなくなってから二年近くが経っていた。
熱いサックス。「ファンク」というジャンルらしいけれど、そこには私の思うロックスピリットも詰まっているような気がする。
いくらかのジャズで出会う、ひょうひょうとした感じやのらりくらりとした感じが、苦手だった。かといって、ポップスやクラシックに近づくようなものにものめりこめなかった。ずっとロックが好きだったけれど、それをアルトサックスでどう表現していいかわからなかった。
彼のサックスには、そのヒントがある。熱い演奏、かっこよく作り上げていくメロディやアドリブ。そういう作り上げ方をすれば、のらりくらりとしない。
人と意見を交わしつつも、
自分の感覚を、思ったことを、信じて。