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れらーど。

カーナビの地図には「閖上小」とあった。その名前には覚えがあった。中日新聞での連載。体育館に津波が押し寄せた、そのときを何人もの話から綴った連載を覚えていた。仙台からこんなに近くだったのだ。
でも止まることもできなくて、それを見ながら、通り過ぎた。
仙台市外まで走るつもりではなかったのだが、どこかに止まって引き返そうとすることもできなかった。まっすぐ走るのがやっとだった。どこまで行くのがいいのかもはやわからなかったが、標識に「仙台空港」とあるのを見つけて、とりあえずそこまで行ってみようと思った。
しかし仙台空港にはなかなか着かなかった。そのうち、両側に建物が見え始めた。どれも真新しくて、同じ見た目の建物がいくつも並んで立っている。たまに、真新しい一戸建てもある。震災後に建てられている家なのだろうとすぐにわかる。コンビニやドラッグストア、教育や福祉関係の複合施設「まなウェルみやぎ」などもあった。「まなウェルみやぎ」は土曜の朝のせいか人の気配があまりなく、静かな外周を警備員の方が歩いていた。
もう少し走ってやっと仙台空港に着く。駐車場に車を停めて歩いていくと、エスカレーターの前に津波の水位を表す看板があった。
空港の2階までは届いていないから、そこへちゃんと避難できれば逃れられたのだろうけれど。でも駐車場にあった車はみんな流されたのだろう。今ある駐車場の線も、入場口の機械も、全て作り直されたものなのだ。
そう思いながら、初めてカメラを取り出して、撮った。
空港の中でもいくつか写真を撮って、お腹がすいたので仙台っぽいものを探したらずんだあんのかかった団子を見つけたので、買って車で食べた。お店のお姉さんのことばからは少し東北の香りがした。
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by hyuri07 | 2013-09-29 02:37 | そのほか。

髪をおろした。

さっき練習の後でひらいさんをつかまえて、ありがたくもご指導いただいた。
そのときに「なんで緊張するの?」と聞かれた。
その言葉を聞いて、先日の柳ケ瀬でのライブの後に考えていたことを思い出した。

吹いているとき、私の左肩の上のあたりに、もう独りの私がいて、「なにかっこつけてんの」「自分がかわいいとでも思ってるの?」みたいな、冷ややかな感じでこちらを見ている。
その視線に気付いてしまうと、それに縮み上がってしまう。固くなってしまう。だから観客が千人でも、一人でも、自分ひとりで吹いているときでさえも、緊張してしまう。
写真を撮られたりするときもそうだ。私が結婚式やウエディングドレスに惹かれないのも、その視線に気付いて楽しめないだろうことが容易に予想できるからなのだろう。
そのことに気付いたときは、ずっともやもやしていたものが言葉の形になって、何だか少しすっきりした。
そしてひらいさんに話したことでまた少しすっきりしたのかもしれない。
言いながら、何だか言い訳っぽいなあと思った。

ひらいさんは先生として、励ましの理論や、質問の答えに対抗するようなと言葉の引き出しをたくさん持っていらっしゃるのだと思う。私の答えに対抗する言葉は、引き出しにはなかった様子だったが、すぐに答えてくださった。「俯瞰して見ているってこと?それすごいね!ギフテッドじゃない?」否定せず、持ち上げすぎず、前向きに答えてくださったその言葉に、また少し救われた気分になった。ありがたいなあ。そんなふうに人を励ませるひらいさんはほんとにすごいと思った。

8月に柳ケ瀬で吹いたとき、今までと少し違う感覚だったと書いた。あのとき、左肩の私と吹いている私が、途中で重なって一体になったような気がした。それで、ソロを吹いているときに初めて、楽しいなーとか、気持ちいいなーとか、ちょっとだけ、へたくそなりに、思ったのだった。
どうしてなのか、それも考えた。ライブの前しばらく、仕事にわりと余裕があって、自分なりに、ある程度練習して臨めたからなのではないか。
何か、よりかかれる確かなもの。それもヒントになるかもしれない。もしかしたら何か、いい方法があるのかもしれない。今日話したり、ありがたい言葉をいただいたり、今書いたりして、そんな気がしてきた。

ま、その方式で言うと、結婚式やウェディングドレスは難しいけれど。
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by hyuri07 | 2013-09-19 00:03 | そのほか。

嫌いじゃないけれど。

どうも半沢直樹にそれほど興味をひかれない。

全部見ているわけではない状況で書くのではあるが。
すごくわかりやすくしてある、と思う。たとえば半沢の奥さんの花は、原作では広告代理店に勤めるキャリアウーマンだ。仕事柄、物事を合理的に考える性格だとされている。花の合理的な意見に、半沢が少々心をいがいがさせる場面もある。しかしドラマでは専業主婦になっていて、半沢を優しく包む。栄養の整った、おいしそうな料理を食べさせる。他の登場人物も、敵は敵らしく憎らしく、かなりわかりやすく描いてある。ただ、その意味では今回の最後の近藤の描き方は、人間の多面性みたいなものを表現していて興味深かった。

そもそも銀行に女子がいないことからして惹かれないのかもしれない。女子は奥様方であったり、壇蜜のホステスであったり、古くからある女性像として出てくることがほとんどだ。支店に女性の行員がいないはずはないと思うが、ストーリーにはからんでこない。きっと今もそれが銀行の現実なのだろう。だからその描きようを批判するつもりはないのだが、あなたは半沢のようにはなり得ない、と暗に言われているのも明らかだ。現実には、ドラマが起こるような現場から外れた場所から眺めるしかできないと知らされながら、どうして半沢に喝采を浴びせることができるだろう。遠くで何かやっている人だとしか半沢を受け止めることができない。
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by hyuri07 | 2013-09-16 03:25 | テレビ

せんだいメディアテーク1。

ちゃんと、図書館だった。

ホールでは定禅寺ストリートジャズフェスティバルのライブをやっていた。低いけれどちゃんとステージがある。人がたくさんいた。でも、まだ入る。入り口は、図書館、という感じじゃない。エントランスホール、というような感じ。この建物の特徴と聞いていた「チューブ」も、違和感を与えない。外観も、たとえば銀座に並んでいるようなおしゃれな建物のようで、ごく自然に受け止められた。そう、ここは仙台という都会の、定禅寺通りという最もおしゃれな通り。だからこそ外観にも違和感がないのかもしれない。ぎふメディアコスモスができるのは、元官庁街、今は隣接するのが元岐阜総合庁舎の歴史的建造物くらいの、広い「跡地」。周りに与えられている景色がかなり違うのだ。
人が多いので、カフェやショップは後回し。はたと気がつくと、トイレだった。トイレには見えない、宇宙船の入り口のようなトイレ。
エスカレーターを上ると2階。雑誌が置いてあって、人が座って読んでいる。白い壁や書棚を基調にして、赤いベンチ。エメラルドグリーンやオレンジの椅子。黄緑のちらし置き場。色の使い方がなんだかお洒落だ。多くの人が読んでいる。ちゃんと、静かだ。AVコーナーで動画を見ている人もいる。向こうのほうは子どものコーナー。話し声は少しするけれど、静かだ。
「シネバトル」というイベントのポスターが置いてある。「当日は開催時間だけでなく、会場設営のため、昼頃から少々騒がしくなりますが、どうかご了承ください。」ちょっと普通とは違う図書館、への扉を開くコピー。そこでポスターの中身を見て驚く。ファシリテーター:鷲田清一(せんだいメディアテーク館長)?そういえば、もう定年退官されていてもおかしくないお年だろう。専門は違ったけれど、先生の講義が好きで面白くて、何度も受講していて登録していなくても暇だと潜り込んでいた、本も読んでいた。
鷲田先生が館長なら、メディアテークはこれから、もっともっとおもしろくなるだろう。羨ましい。

その上の階にはたくさんの本があった。机もあった。勉強している子もいた。予約席と自由席があって、いすの色で分かれているらしい。(続く)
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by hyuri07 | 2013-09-11 04:45 | そのほか。

そこには。

凄み、みたいなものが、あった。

車で走っていて、どうも違和感を覚える。そこで、周りの建物が新しいものばかりだということに気付く。倉庫街を走っていって、そのうち建物もなくなった。左右は、何か草の生えた土地が広がっていた。このあたりにも津波が来たのだろうか。よくわからなかった。でも道路はちゃんとあった。前後には大きいトラックがたくさん走っていた。
カーナビの地図には小学校が書いてある。でも、こんなに何もないところの真ん中に学校があっても通う人がいないはずだ。おかしい。小学校の手前にセブンイレブンがあった。工事の人が買い物に訪れるのだろう。
そうしたら、1階部分の壁のなくなった家が建っていた。
やはり、ここには津波が来たのだ。

何が起こったのか、想像もできなかった。
そこには凄みのある空気が漂っていた。それをびりびりと感じたら、怖くて、想像を試みることすらできなかった。
つけていたラジオを、すがるように聴いていた。それがなかったら、安全に運転するだけの理性も保てなかったのではないかと思う。
カーナビに公園と書かれているところは、工事現場だった。ガードマンさんが立っていて、前を走るトラックが左折して入っていった。

岐阜では、東日本大震災のことが話題に上ることは、少なくなっている。テレビで見たりはしても、遠く離れたところのことだという意識のほうが強くなっている気がする。私が、写真を撮って、伝えて、少しでも何か伝えなければならないんじゃないか、と思った。
でも、そんなのおこがましいような気がした。そこにいるだけで精一杯だった。写真を撮れたのは、帰り道になってからだった。

さらに走ると、名取市に入った。(続く)
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by hyuri07 | 2013-09-09 00:15 | そのほか。