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紅葉。

吉本ばなな『デッドエンドの思い出』を読んでいる。
一つ目の短編「幽霊の家」を読んだ。
「文学と身体」というテーマの授業をずっと受けている。いろいろの文学をそのテーマで考えた。
たとえば、その前に読んだ山本文緒『シュガーレス・ラブ』なんかも、いろいろの病気をテーマとして読むことができた。そこでは、心の変調やストレスのようなものと、からだが結びついて動いているようだった。
前も書いたけれど、心と体とが結びついているのなら、まだ精神的には救いに思えるところがあるのではないかと思う。もっとつらいのは、心が苦しくても体に何の変調も表れないようなときなのではないかと。
「幽霊の家」で描かれている心と体との関係に、私はなんだか納得してしまった。
以下、ねたばれが少しあり。






この作品では、吉本ばななさんの作品では珍しいのではないかと思うのだが、展開が終わった後に2ページ近く、主人公である「私」の考えることが書かれている。読み返してみたとき、そこに書かれていることのすべては、私にはまだわからなかった。それまでの部分に書かれていることも、納得できる気がするのだが、それがどういうことなのか、いまいち実感としてつかめないというのが正直なところだ。しかしやはり、この話を通して読むと、今までいろいろ読んできた文学の中でいちばん、心と体との関係が腑に落ちる気がする。
まだ「すっかり大人にな」ってはいないのだろう。わからない理由を、そうやって簡単にあげることができる。でも、わかるような気もするのだ。わかりたいと思う。でも急いで大人になりたいわけではない。「すっかり大人にな」らなければ、わからないのだろうか。そこまでは、この話には書いていない。
急いで大人になりたくはない。でも、わかりたい。そういう気持ちを持つ私なりの、心と体と恋愛(というべきか男と女と言うべきか)とのうまいつなげ方を見つけて、表現できたらいいなと思う。
by hyuri07 | 2006-01-06 22:57 | 文学


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