テレビドラマ「Beautiful Life」で、木村拓哉さんが演じる主人公は、車いすに乗る女性と初めて会ったときから、まったく偏見を持っていないという役柄だった。
どうもリアリティに欠ける、と私は思っていた。最初は何らかの偏見があり、それが溶けていくというのが、多くの人の心持ちなのではないかと。初めから全く偏見がないなんてかっこよすぎるのではないか。
今の私は、少しは主人公の気持ちがわかるような気もする。それでも。
それでも、私は仕事の一環で行ったにすぎない。生活の一部にかかわったに過ぎない。
プライベートでもつきあえるほど仲良くなれるのか。
生活のすべての場面でかかわりながら暮らしていけるのか。
実際にそういう場面に立ってみるまでは、「できる」とは断言しにくい。
そう思うと、私が二日間を楽しく過ごしたことにも、偽善が含まれているのではないかと不安に思えてくる。
それでも、本当に楽しかったのだ。不思議なくらい楽しかったのだ。
そこでの時間の流れ方にあっという間に馴染めた。
その気持ちを手元で扱いきれずにいる。