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『恋空』。

かわいいよ。

主人公役の新垣結衣ちゃんは2時間半ほとんど出ずっぱりだった。そのがっきーがめちゃめちゃかわいかった。だから最初から終わりまで、本当に目が離せなかった。表情がすごくいい。幸せそうな笑顔、家でくつろぐのびのびとした表情、兆す不安、泣き出すのを堪える表情。その表情の変化から、彼女の思っていることがわかる。少し頼りない女の子、果てしなくかわいい女の子。





死を前にしてどうすることもできず、「死にたくない」と泣いていた彼。奥山貴弘さんや筑紫哲也さんなんかのように、死に面しながら多くの人へ訴えかけるものを遺せる人というのはごく限られた人なのではないか。泣きながら動けないほうがよくあるのではないか。
それでも彼は、彼女がこれから先も生きていけるだけの力を遺した。彼の隣で彼女は最後のほうまでかなり頼りなかったけれど、回想元の現代の場面では、大人の顔をしていた。

彼の前で、自分のことを「美嘉」と呼ぶ。レイプ、妊娠、流産、家族の不和、現実ではそんなに一箇所に起こらないだろうと思うくらい、いろいろと不幸な出来事が起こる。そのあたりがケータイ小説らしさなのかなと思った。どんなに脚本を練り、映像を考えたとしても、その内在的制約から逃れきることはできない。だからそれを逆手にとって、出ずっぱりのヒロインにとびきり魅力的な女優をキャスティングした。話を批判したい人はいるかもしれない。しかしそれがどうであれ、身にいろいろなことが降りかかる主人公を演じきった新垣結衣ちゃんの演技は素晴らしい。新人賞をいくつも取るのも当たり前だ。
ロケは大分でも行われたらしい。地方が舞台になるあたりもケータイ小説らしいか。(全国どこからでも読めるケータイ小説を、娯楽の少ない地方の女子高生がよく読んでいるという話をどこかで読んだ。)

自転車で二人乗りをしたり、図書室で待ち合わせたり、二人の恋はままごとのよう。結婚する、働くという言葉にも、あまり現実味が感じられなかった。それでも二人はお互いがすごく好きなのだろうということはわかった。だからこそ、子どもを産みたいと迷わず言えるのだろう。振る舞いが大人でなく高校生だからままごとのように見えるだけで、お互いを思う気持ちは、大人が思いあうのと同様に、深く強い。

美嘉ちゃんには、また恋をして、愛されて幸せになってほしいな。
ケータイ小説の読者には、これからもずっと彼を思い続ける、という結末のほうを見たい人のほうが多いのかもしれない、とも思った。
でも私は、美嘉ちゃんがこの先ずっと独り身というのは想像するだけで切ない。

それにしてもヒロくんは、いまどきの高校生でこんな男子がいるのか、と思うほどに魅力的だった。やりたいと思ったことを実行して、日々を輝かせる。彼女を守りたいと思い、それをためらいなく行動に移せる。個人的には「あったりめ~よ!」というメールに胸きゅんでした。

意地を張って考えすぎて、回り道はしたくない。素直に、好きな人と離れたくない。
君と離れることが、なにより私を不幸にする。
いつも言っていることだけど、
もしや私に何かあっても、ちゃんと生きて幸せになるように。
by hyuri07 | 2008-11-11 23:35 | 映画


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